国が進める地域包括ケアシステム構築に向けた新潟県言語聴覚士会の取り組み
-介護予防のための地域ケア個別会議への参加-
新潟県言語聴覚士会 地域包括ケア推進部長 本田俊一
高齢者の増加と共に増え続ける要介護者への対策が急がれている昨今、高齢者が重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることが出来るよう、「医療」「介護」「予防」「住まい」「生活支援」が切れ目なく一体的に提供される体制「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。
臨床に携わる私達は、病気になったら医療を、介護が必要な時には介護サービスの提供を…というイメージは容易なものの、介護予防に関しては具体的な取り組みがわからないのが実状ではないでしょうか?
一般介護予防事業の一つに「地域リハビリテーション活動支援事業」があります。通所、訪問、地域ケア会議、サービス担当者会議、住民運営の通いの場などへのリハビリ専門職の関与を促進するものです。地域の介護予防への取り組みを強化する、この事業は介護予防事業への貢献と言えます。新潟県においても、この地域リハビリテーション活動支援事業の一環として、市町村が主体的に実施する取り組みに、医療・介護の現場で働くリハビリ専門職がそれぞれの地域に招集され、専門的な視点から関わりをもつことで、その地域での介護予防・重度化予防が行われています。その一つが「介護予防のための地域ケア個別会議」の開催です。市町村の地域包括支援センターが開催する地域ケア個別会議では、提示された個別の事例について薬剤師、栄養士、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門職がアセスメントし、どのような支援が適切か助言を行うことでケアマネジメントの質の向上を図り、自立支援を後押ししています。
県士会では令和2年度より新たに地域包括ケア推進部が編成され、県内30市町村を37ブロック(新潟市8区含む)に分け、各ブロックの代表者を中心として、それぞれで開催される介護予防のための地域ケア個別会議への助言者派遣調整、介護予防事業に関わる依頼に対応しています。令和3年度は、上越市、十日町市、南魚沼市、魚沼市、出雲崎町、小千谷市、燕市、三条市、佐渡市、新潟市、加茂市、五泉市、阿賀野市、阿賀町、新発田市、胎内市、村上市、粟島浦村の18市町村で年間168件の開催が予定されています。他にも茶の間やサロン等の通いの場や健康教室での講師依頼など、STの活躍の場がそれぞれの地域で広がりをみせつつあります。
これからも新潟県地域包括ケア支援専門職協議会、新潟県リハビリテーション専門職協議会の活動に参画し、他団体と協同して地域包括ケアシステム構築に向けた支援を行っていきます。会員の皆様にも、お住いの地域やお勤め先の地域での介護予防・重度化予防の取り組みにぜひともお力添えいただきたいと考えております。詳しくは地域包括ケア推進部までお問い合わせください。